迷探偵アナンの日常

気ままに生きているだけなのに、厄介ごとがやって来る

本社からの刺客2


とある本社勤務の50代ぐらいの男性社員が私の勤務している都内某所の支店にやってきた。

支店にいる社員と仕事の打ち合わせをするわけでもなく、1、2時間部屋を借りては帰っていく。

その後も週に2日ぐらいの頻度で支店に足を運んでいた。

 

とまあ、ここまでが前回までの簡単なあらすじである。

本社からの人間となるとそれは丁寧に扱うのが一般的だと思う。本社には私の仕事を統括しているチーフがいるのだ。

何を言われるか分かったものではない。

 

しかも、私は本社のチーフと仲が悪い。

性格が合わないから仲が悪いというわけではない。

とある事件が起きたのだ。

 

それはさかのぼること1年前。

チーフがとある資料を作成してほしいと依頼してきたのだ。

チーフもチーフで、さらに私たちの仕事をまとめている管理職の人間に頼まれた依頼ではあるのだが、チーフはPCに弱くエクセルの関数を使える人間ではなかった。

だから、私に依頼してきたと思うのだが、私はチーフの話をきいているうちに、エクセルのひな型をもらったほうがいいのではと考えた。

 

チーフの話によれば、他の部署とフォームが違うので統一してほしいという上からの依頼があったというのだ。

だから、そのフォームで作ってほしいというのだ。

しかも、チーフはそれがどんなフォームかを口頭で言ってくるのだ。

 

他の部署のフォームに合わせるのなら、そのフォームをよこせと普通思うものなのだが、なぜかチーフはオリジナルを作れと言う。

ちなみに、私はデザイナーでもなんでもないし、プログラマーでもエクセルのプロですらない。

 

口頭できいただけの説明で他部署のフォームが作れると思っているのだろうか。

 

だから、私はチーフにチーフの上でとりまとめている管理者に他部署のフォーム、もしくはひな型をメールで送ってもらえるように頼んでみた。

そしたら、チーフはそれは出来ないと言う。

 

なぜだ・・・

しかも、チーフはこのことは管理者には言うなという。

 

なぜだ・・・

とりあえず、私は簡単に作ってみると言い、電話を切った。

ちなみに、ここまでのやり取りは本社にいるチーフと支店にいる私との電話での内容である。

 

ひとまず簡単に作ってみようと思ったその時、またチーフから電話が来た。

開口一番「管理者にもう電話した?」と言うのである。

 

どんだけ、秘密にしておきたいのだろう。

まあ、私は管理者には電話するつもりでいたので、何を言われようが電話をするのだが、それをチーフには言わず「まだしていませんよ」と答えた。(「まだ」とは言わなかったほうがよかったかもしれない)

 

そしたら、チーフはとりあえず自分が作ってみたサンプルを送るからこれに関数を入れろと言う。

間髪入れずにメールを受信し、添付されたファイルを見てみた。

すると、そこにはエクセルのしゃれたフォームで作成された表があった。

 

これに関数を入れてもよいが、何のデータを入れるのだ。

関数を入れてもいいが、こういうものには作成仕様書というものが必要なのだ。

どういう関数を入れてほしい。色は何色に変化するようにしてほしいとかリクエストがなのだ。

 

言っておくが私はプログラマーではない。

チーフの話をきいていると、かなり時間のかかりそうな関数になるのが分かった。

そして、チーフがオリジナルで作ったはいいが、管理者がこれは使えないといったら私がコレに費やした時間が無駄になるのだ。

 

なので、私はとりあえず再度ひな型をもらうように説得したのだが、そしたらチーフは

 

「じゃあ、もういいですっ!!!」

 

と怒鳴り声で電話をガチャンと切った。