迷探偵アナンの日常

気ままに生きているだけなのに、厄介ごとがやって来る

本社からの刺客3



チーフに電話をガチャ切りされた私はすかさず管理者に電話をした。

管理者は40代後半のおっとりとした女性だ。

私はとりあえず今さっきまであった件を順に説明していった。

ただ、私はあまり説明が得意なほうではないので、うまく伝わったかどうかは不明だ。

 

管理者はただただ困った様子で私の話をきいていた。

だがそれもそのはず、管理者は戸惑い気味に私にこう言った。

 

「あ、私そのことすっかり忘れていました。たしかにそのようなことをチーフに言ったかもしれません」

 

管理者自身、他部署のフォームに合わせるという事をすっかり忘れていたようだ。

しかも、その依頼元が管理者のアシスタントからであったことが判明した。

どうやら、その資料を実際に使用するのは管理者のアシスタントらしい。

 

「できれば、ひな型が欲しいのですが……、表を1から作成するのは時間もかかりますし」

 

そう私が言うと管理者は二つ返事でデータを送ってくれることを了承してくれた。

電話を終えた10分後にはアシスタントの女性から、データが送られてきた。

 

しかも、入力しなければいけない項目のデータまでもがきちんと分かりやすく説明されていた。

なぜこのような簡単な事をチーフは拒んでいたのだろうか。

 

疑問は尽きない。

だが、私はチーフからこの件については管理者には絶対に言うなと言われている。

だから、私は管理者にその事を伝えた。

管理者は「では、この電話を私がもらったことや、データを送ったことについてはチーフには内緒にしておきますね」と言ってくれた。

 

目には目を歯には歯をである。

 

だが、その数分後アシスタントの人からチーフと私宛に先ほどと同じデータと、本社用のデータのひな型も送られてきた。

どういうことだろうと思っていたら、管理者から電話がかかってきた。